J-CD 大人 インタビュー



―――椎名林檎率いる東京事変。
昨年夏に2人のメンバーが脱退するという事件を乗り越え、
早くも新作を完成させました。
この作品はまさに、新メンバーの2人
キーボード伊澤一葉、そしてギター浮雲の活躍が光る作品になっています。
はやり2人は東京事変への参加が嬉しかったのではないでしょうか。


椎:「嬉しい」なんて、一言も言ってくれないですよ。
「荷が重いから、嫌だ」みたいなことをまずは言われたし
「音楽的にクリエイティブなことをほんとにやる気があるんだったらやるけど」
みたいな厳しいことをやっぱり言われて。
始まってからも「そんなもんでいいんかい?」
っていうことをやっぱり言われるような場面があって。
まぁ、喜んでくれてはないけど、真剣にやってくれてる感じだと思います^^


―――いやいや、内申は嬉しいはずですよ。

椎:いや、でも、いつも憎まれ口叩かれるので
こういう時にね、言ってやろうみたいな気がちょっと起こってしまいました。
すいません(笑)


―――活発な意見交換は、椎名林檎にとっても収穫となったようです。

椎:あ、そうなんですよ。したことがなくて、今まで。
「いや、譲れない」とかって言われちゃうことが、まず、一度もなかったので
彼らが言ってるように、音楽家としての悩みを抱えたりとか
充分な考察、まぁ、推敲するっていうことをやっていいんだっていうのを
ようやく許されたというか。


―――例えばどんなことなのでしょうか。

椎:BPM(曲のテンポ)が途中で変わることとかっていうのを
私は凄くタブーにしてきたんですね。
本当は音楽って言うのは、人の高揚とか、体温の差とか
バイオリズムの変化によって波打って当然なんですが
同じタイムで、同じ幅で進んでいくものだっていう
デジタル世代――にあるべきものを作るんだから、
そういうものを表現してもおもしろくないだろうって
すごく我慢してたこともいっぱいあるんですよね。

でないとカラオケで歌えないとか
新しいメンバーによって、自由に
「もう、いいんじゃない。そんなに気を遣うことはもうないだろう」と。


―――メンバーの書く楽曲や、演奏も、
これまでの椎名林檎のイメージにはとらえられていません。


椎:椎名林檎っていうのは、おどろおどろしいイメージがあって
怨念の塊みたいな・・・
まぁそれが売りなんだろうけれども・・・
「一緒に同じ川でやるんだったら、そういうのは嫌だ」って言って
女性らしくしてるほうがいいし、
そんな、もうなんか、巻き舌で歌う必要ない、みたいな。


―――普段の椎名林檎は、根は可愛らしい人として知られています
なので、ストレートな可愛い歌をもっと歌ってもいいと思うのですが・・・?


椎:可愛い歌っていうのは、どういう歌ですか?
ZARDみたいな?岡本真夜さんみたいなんですか?
Every Little Thingみたいな?
やっても宜しければ(笑)
でも許されないですよ、多分。
みんな「えぇっ?」って、こう・・・(前を睨む
みんな絶対三白眼になるもん、周りの人が(苦笑)


―――だからこそ、メンバーの書く楽曲に期待したいところです。

椎:まぁ・・・そうなんですよ。
自分の手を汚しては、なかなか難しいことなので
そうやって、人のせいにしてよければっていう。
「いや、私の曲じゃないから」って言える隙間があれば
是非やらしていただきたいと思いますけど
どれが可愛いっていうのか、よくわかんないですけどね。
それは男の方が可愛いって言うのと
女の私が可愛いと思うものって、また違うと思うので。